児童養護施設は多くの都道府県に設置され、それぞれ家庭の事情により、環境上養護が必要な子どもが入所し生活しています。
児童養護施設の事を再度知るきっかけになったのは3年前、保育士研修などで施設と関わりをもつようになった事。一番大きな影響を与えてくれたのは、昨年放映されていたNHKの『ねほりんぱほりん』という番組でした。その番組の中では、児童養護施設で育ったYさんがインタビューに答え、どんな生活を送ってきたのかを語っていました。
Yさん乳児期から環境上養護が必要になり児童養護施設で生活していました。
施設では職員や友だちに恵まれ楽しく生活できていたようですが、学校ではクラスメイトに給食を盛ってもらえなかったり、何か無くなるとYさんのせいにされたりと偏見を持たれる事もあったようです。そんな経験から高校は地元から離れた学校に行き、児童養護施設で暮らしている事を隠して過ごすようになりました。しかしプライベートの生活を隠すのは案外難しいものです。同じ施設で暮らしている子とはお弁当が同じものになってしまうのでお弁当の並べ方を変えて持って行ったり、中学校の頃の同級生と合わないように気を遣ったり…友だちにバレて嫌われないよう、隠すのに必死な青春時代でした。
そして18歳。Yさんは施設を卒業しなくてはなりません。巣立ってからも様々な苦労が続きます。十分に暮らすお金はなく、大学に行きたくてお金に困っても親は助けてくれません。それどころか母親からお金を貸してほしいと言われる始末。それでも母親の愛情へ期待を持ち何度かお金を渡したそうです。最後のお金を渡す時こう考えたそうです。「親が自分を捨てたんじゃない。自分が母を捨てたんだ」と。自分の過去に負い目があるYさん。勇気を持って自分が施設にいた事を彼女に打ち明けると「私にはそんな重い過去は背負いきれない」と別れる事に。全てを受け入れてくれる友人がいれば、理解してもらえない人もいる。Yさんの夢、自分の育った施設で小さな結婚式のお祝いをしてもらう事。友だちに用意をしてもらって、職員を招待して奥さんに「これが僕の家族だよ」って紹介したいそうです。
児童養護施設で暮らしてきた方がこんなに大変な思いをしているなんて、全く知りませんでした。こうして当事者の声を聞くと実生活が手に取るように伝わってきます。Yさんは普通に生まれ必死で生きてきただけです。親の身勝手さと、18歳で世の中に放り出される仕組みのせいで苦労をさせてしまっています。番組を見てショックを感じたと同時に、多くの苦難を超えてきたYさんの人間としての器の大きさに感心しました。もし皆さんがYさんと同じ境遇で育ったら、どのような人になっているでしょうか。
児童養護施設を出た方に絶対に必要なのはお金です。しかし私一人のお金だけでは何もできません。では何もせずに見て見ぬふりをするのか…。今の私は微力ながら世の中を作っていける大人です。Yさんのような方が孤独にならないよう、自分の全てを打ち明けられる場を作る事なら私にもできます。皆さんは児童養護施設の事を知った今、どのように過ごしますか?
1人ひとりが無理なくできる事で、誰かの力になれると思います。
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