『障がいのある子育てと障がい者就労支援が交わったところ』という勉強会に参加してきました。講師はご自身のお子様が障がい者で、現在ジョブコーチやペアレント・メンターとしてお仕事をされている日笠ようこ先生。就労先に出向き、当事者や上司の話を聞きながら職場に馴染めるようにお手伝いをしています。
障がい者の就労と聞くと技術的な面が周囲に追いつくかいう部分にフォーカスされるかもしれませんが、通勤、人間関係、ルール、昼休みの過ごし方など、あらゆる隠れた課題があります。
例えば、発達障がい者にとって曖昧な指示はとても難しいものです。例えば会議中に「お弁当とお茶配って」という指示があります。このような時、本人は脳をフル回転させて考えます。「誰から配るんだろう、端からかな、偉い人からかな、誰が偉い人なんだろう」「お茶はどこに置けば良いんだろう、どっちから出すんだろう」様々な事を考えた挙句、パニックになり、曖昧な指示を出した上司に対して怒ってしまいます。できなかった自分に劣等感を持ってしまいます
失敗の濡れ衣をかぶせられてしまう時もあります。障がい者の中には、もの事の経緯を系統立てて説明する事が苦手です。自分の手前の作業でミスが起き、上司に勘違いして怒られた場合でもその経緯を説明する事は困難です。そのせいで他の人が怒られた時にどうして良いかも分かりません。
このような困難が繰り替えされていくと、どんなに仕事に慣れていてもある日ポッキリ心が折れてしまい、突然家から出られなくなってしまう場合があります。
発達障がい者は視覚からの情報が優位になる場合が多いので、仕事内容が視覚で明確になっていたり、マニュアル化されたものを覚えるのは得意です。同じ事を繰り返すのが好きな人、何かをピッタリと合わせる事が好きな人、その人の特性に合った仕事をするのが一番スムーズです。本人が無理をしすぎていないか、周りが気が付いてあげるのも優しさです。
障がい者にとって就労とは社会と繋がっていられる大切な環境です。自分を大切にしながら働くうえで、就労前に身に付けておくべき事を日笠先生に教えて頂きました。
・衣食住、生活リズムなどのライフスキルを身に付け、外に出られる健康な体を作る
・自分の苦手な事、得意な事を自身で知っておく
・相談スキルを持つ
障がい者は本人の120%の力を出して職場に馴染もうと努力しています。周囲のちょっとした配慮やサポートで、自分も皆も気持ち良く働ける職場になるかもしれません。
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