今日は自閉症スペクトラム(ASD)の身体機能についてお話ししていきます。
自閉症には感覚過敏の特徴も含め、身体機能の不具合が見られます。
私達は暑い場所に行けば汗をかきます。体の表面が暑いと感じると、その情報は脳の視床下部に届き、汗をかいて体を冷やすように指令を出します。しかし自閉症の方はその情報伝達がスムーズに行われず汗をかいて体温調整をする事が困難です。暑い場所で汗をかかなければ体に熱がこもり、倒れてしまうばかりか死を引き起こしてしまう場合もあります。室内に冷房があるかどうかは、自閉症の方にとって死活問題なのです。自閉症の子どもが外で遊びたがらないのは体温調整の問題もあるかもしれません。
また視覚からの情報が優先される事も特徴です。視覚優先という事は逆を言えば『目に見えないものは、存在がない』という事です。たとえば自分の背中は目に見えないので背中がないと思って過ごしていたり、スカートを履くと足の形が見えなくなってしまうので足を忘れてしまったりという事も起こります。「それのどこが問題なのか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。問題はそのような感覚によって怪我や事故が起こる事です。
皆さんは空間に注意をこらす事はありますか?目に見えない空気をなでてみようとは思わないですよね。存在はしていても認識できない部分には意識が向かないものです。自閉症の方はこれが自分の体に起こります。コタツを例にあげてみましょう。自閉症の方がコタツに足を入れると足は見えなくなるので存在を忘れてしまいます。するとコタツの熱い部分に足が当たってしまっても気付かずにやけどをしてしまいます。熱を感じる器官が鈍感な場合もあるので、その時にはおおやけどになってしまいますね。
脳機能障がいは身体機能に大きく影響を与えます。しかし人によって度合いや症状が様々なので、本人も周りも気付きにくい部分でもあります。周りの人がこの事を知識として知っているだけでも関わり方が変わるかもしれません。
参考文献:自閉っ子、こういう風にできてます!ニキ・リンコ×藤家寛子 花風社
0コメント