今は発達障がいへの理解が進み、早期発見によって子ども達は療育など専門的なサポートを受ける事ができます。しかし現在発達障がいの診断を受けている大人の中には、幼少期に健常者として生活してきた人もいます。そのような人々は、成長段階で自分の特性を知り、その対処を見つける機会のないまま社会に出ています。それ故大人になってからも生きづらさを感じて生活している場合が多いのです。
発達障がいの方から聞く悩みの一つは仕事について。具体的に発達障がいの方は、仕事のどのような面で大変な思いをしているのでしょう。
①受け入れ先が少ない
障がいがある事を伝えて就職した場合(オープン)そもそも受け入れ先が少なく、低賃金の場合が殆どです。障害者年金があっても、ぎりぎり自立した生活ができるくらいの収入になります。そのため障がいを隠して就職(クローズ)せざるを得ない方もいます。
②理解が得られない
障害を隠して就職した場合、当然与えられる仕事の量や内容への配慮はありません。失敗をすれば叱責も受けます。これが発達障がいの方には辛いところです。
・色々な所から予想外の仕事を振られるとパニックになる。
・仕事量が多くなると、どこから手を付けて良いかわからない。
・聴覚優位の人は書面での指示が理解できない。
・視覚優位の人は声で指示された事を覚えられない。
・PCを立ち上げた時にいつもと違う画面が出ると混乱する。
・自分の特性を説明し、上司や同僚に配慮を求めても甘えと思われてしまう。
・小さなミスが繰り返され、解雇されてしまう。
・感覚過敏のある人は、特定の音や匂い、手触りなどにストレスを感じる。
・大勢の空間が苦手
③発達障がいの知識がない人が担当になる
障がいがある事を伝えて入社した場合、会社に当事者の特性を書いた書類(特性シート)を提出する場合があります。しかし上司は発達障がいの知識がなく、特性シートを見ていないような対応をする方も多いと言います。せっかくオープンで就職しても、これでは何の意味もありません。
④自己肯定感がなくなる
発達障がいの方は精一杯お仕事に取り組んでいます。苦手部分を克服するにはどうすれば良いのか日々考え、努力しています。それでも特性からミスが起きたり、自分の許容量の仕事に取り組んで体調を崩してしまう時はあります。自己管理ができていない、ミスが多い、空気が読めないなど叱責を受ける事たびに「どうして自分は何もできないのか」と自信を失い、ついには会社に足を運べなくなってしまう人もいます。
「会社が求める能力がないなら仕方ない」と一言で片づけて良い問題ではありません。今小学生の5人に一人は発達障がいの特性が見られると言われています。15年後には同じオフィスで発達障がい者と働いている未来があるのです。健常者の理解なくしてお互い良い仕事はできません。
・視覚で理解できなければ口頭で説明する
・許容量以上の仕事を与えない
・デスクを区切った空間にし、その人専用のPCにする
などひと手間かける事でミスを防げたり、より生産性が上がる可能性もあります。健常者も障がい者に助けてもらう時がある事を忘れずにいたいものです。
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