前回から『一つの物事に強い集中を見せる』事へのモンテッソーリ教育のアプローチについてお話しています。
『一つの物事に強い集中を見せる』背景として以下の2点を挙げました。
①感覚的・生理的に「こうでないと気持ちが悪い」とい気持ち
②好きな事へ夢中になること
今日は②について少し掘り下げて考えてみましょう。
周りに気が散ってしまう子どもも、好きな遊びには時間を忘れて没頭します。そして何度も繰り返します。実はこの『繰り返し』が成長に大切で、子ども達は活動を繰り返しながら学んでいます。たとえばハサミを使う事が楽しくて一時間も同じ物を切り続ける子どもがいるとします。あまりに没頭しているので周りは心配して別の活動を勧めるかもしれません。しかし子どもは切る作業を繰り返すことでハサミの使い方を練習し、どうすれば線の上を綺麗に切れるのか試行錯誤しているのです。
集中している時は脳がフル回転しています。脳神経細胞(ニューロン)の樹上突起同士が繋がり、そこに電気信号が流れます。電気信号がスムーズに流れるようになると体を自由に動かせるようになり、出来る事が増えていきます。そして新たな事に挑戦すると、更なる神経細胞同士の繋がりができ上がり、脳の発達が活発になります。
大切なのは強制されて物事を行うのではなく、好きな活動に集中するという点。好きな活動に取り組み、それが達成されるとドーパミンという脳内物質が分泌されます。これは別名『幸せホルモン』と呼ばれるものの一種で、この快感が更なる意欲を生み出します。意欲→達成→新たな挑戦という良いサイクルが生まれてくるのです。達成感で満ちた子どもは、自己肯定感が高く周囲にも配慮ができるようになります。
モンテッソーリ教育の現場にいる大人はこのような知識を持っているので、子どもの『集中』を最も大切にし、その姿勢を尊重しています。子どもが何かに没頭している時には、余計な声をかけたりしません。一言に『集中』と言っても、その背景には様々な成長の要素が隠されているのですね。
お子様が夢中になって遊んでいる時には少し離れて見守ってあげる。これも成長を促す関わり方のひとつかもしれません。
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2019.09.27 04:19
2019.09.27 00:46