先日伺った放課後デイサービスで、運動による感覚統合遊びが行われていました。
●大人と手をつないでトランポリン遊び
●エアリアルヨガ用の布をハンモックのように使用し、ブランコのように揺れて遊ぶ
●バランスボールの上に腹ばいになって遊ぶ
一見子どもが喜びそうな普通の遊びですね。
しかしこれらの遊びの中には、平衡感覚を刺激する要素がたくさん含まれています。
人間が行動する時、外的刺激→感覚器官→脳で情報分析→筋肉への指令→というプロセスで動く事は以前お話ししました。(モンテッソーリ教育 発達障がいに役立つ理由2)
人は五感、平衡感覚、固有覚を持ちそのうち平衡感覚と固有覚は無意識下で働いています。平衡感覚は揺れ・回転・地球の引力といった加速度を感知するもので、耳の奥の三半規管と耳石器が働きを担っています。この働きや情報処理がうまくいかないと、姿勢調整、眼球運動、自律神経回路に支障をきたします。
【平衡感覚のつまづきによる支障】
●姿勢調整→姿勢が崩れやすい、転びやすい、動作にめりはりがない、他人からはだらしない姿勢として見られる
●眼球運動→一ヶ所を注視できない、目つきがきつい、読字が困難、動く物を目で追えない
●自律神経→感覚器官の情報が溢れすぎたりする事による過剰反応(乗り物酔いを思い出すと分かりやすい) 揺れにおびえる重力不安、慣れない姿勢を怖がる姿勢不安
普段当たり前のように使っている私達の身体は、脳と身体が絶妙のバランスとタイミングで調整しているからこそ支障なく働いているのです。発達障がいは脳機能障がいなので、体と脳の調整がうまくいかない場合があります。なぜ辛いのか分からない本人が一番苦しいですね…。しかし脳の発達が盛んな子どものうちに感覚統合遊びを行うと、脳内に流れる感覚情報の交通整理に期待が持てます。
私達が昔公園で行っていた、ブランコ、ジャングルジム、滑り台、回る椅子などを使った遊びには自然と感覚統合の要素が含まれていました。今は子どもが怪我をしない為に、少しでも危ないと思われる遊具は撤去されています。作業療法士の先生は『危険要素があるからと言って何もかも排除するのではなく、最大限安全を考慮した中で子どもを遊ばせてあげることが大切』と仰っていました。大人の都合ではなく、子どもの発達のために本当に必要な事をもう一度考えてみたいですね。
参考文献:保育者が知っておきたい発達が気になる子の感覚統合/木村順・著
写真:http://www.colchestercastlepark.co.uk/play-area/
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2019.10.23 00:15
2019.10.21 00:36