親が亡くなった後、障がいを持つ我が子のためにどのような準備をしておけるのか、「親なきあと」相談室の渡辺伸さんによる勉強会情報をシェアしています。
前回は、財産管理や身上監護のサポートをしてくれる成年後見制度についてお話ししてきました。詳しくは「親なきあと」に向けて今できること⑤をご覧ください。
成年後見制度は、人生を最後まで豊かに過ごす上で頼れる仕組みですが、利用する際の注意点もあります。
●不正がある
・ご家族や親族に依頼した場合も、専門職に依頼した場合も、横領される可能性がある
(2014年後見人による横領→56億7千万円)
・弁護士など専門職による横領は相手に知識がある上、100%悪意があるため金額が大きい
・不正のうち9割が専門職以外。家族、親族による不正ほとんど
※不正を防ぐ為に、後見人の見張り役「後見監督人」を付ける事ができる
●途中で辞められない
・一度決められた後見は本人が亡くなるまで続く
・基本的に後見人は変えられないため、相性が合わなくてもずっと関わる事になる
・真摯に向き合い気持ちに寄り添ってくれる後見人であればよいが、そうでない場合面談の機会は殆どなく、手続きの際だけの関係になってしまう
●費用について
・一般的な後見人の報酬は月2万円。
後見監督人を付けると更に月1万円~2万円の支払い。
また、身上監護上に特別な事情があった場合や、損害賠償請求など特別な行為があった
場合には、付加報酬を支払う必要がある
・依頼人の収入が障害者年金だけの場合、年金から後見費用を払わなくてはならないので
若年で後見制度を申請すると生活費の負担になる
成年後見は単なる手続き補助ではなく、当事者の意志決定をサポートするための制度です。身上監護についての決定権も持つため、日ごろから当事者と関わり、本心でどのような希望を持っているのかを知っておく関係作りが大切です。関係が成り立っていないと当事者が意思疎通する能力を失ってしまった場合、ご家族の意向を優先してしまうことに成りかねません。
成年後見制度自体が今後変化していく可能性もあるので、誰にお願いするのか、いつからスタートするか、別の制度の可能性等じっくり考慮した上で利用すると良いでしょう。
次回は障がい者の住まいについてお伝えします。
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