日本を含め、世界中の国で活用されているモンテッソーリ教育。20世紀初頭に、イタリア人女性の医者マリア・モンテッソーリによって創られた教育方です。
当時は女性の活躍はおろか、まだ女性差別があった時代、彼女は猛勉強の末ローマ大学医学部優秀な成績で卒業しました。その後ローマ大学付属病院の聖ジョバンニ病院で助手として働きます。
ある日とある精神病院を訪れたモンテッソーリは、病院の牢獄のような環境に愕然としました。狭いに閉じ込められ、逃げないよう監視の女性が常に目を光らせている。子ども達は食事がすむと、床をはいずり回ってパンくずを拾います。監視の女性は嫌悪感あらわに、その様子を見ていました。
しかし、医者であるモンテッソーリの見方は異なるものでした。
「子ども達は食欲を満たす為にパンくずを拾っているのではない。手を使う事によって到達する内面の満足感を本能的に求めているのではないか」と。
床に落ちた小さなパンくずを拾う行動を分析するとこうなります。
床に落ちたパンくずが目に入る→視覚を使いパンくずに焦点を合わせる→パンくずがある事を脳で認識する→認識した脳が筋肉を動かす指令を出す→腕の筋肉を使って手を伸ばす→指先を動かして正確につまむ→口に運ぶ
『感覚に訴えて、動きを伴った活動』がそこにはありました。部屋には子ども達に感覚に訴える玩具は何もなく、子ども達はパンくずを拾う事で本能的な欲求を満たしていたのです。
このできごとがきっかけで、モンテッソーリは障がい児の治療として、感覚に訴えて行動できる道具や環境を作るようになります。これが後に医療と教育が合体した『療育』というものに繋がっていくのです。
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