写真:http://casutaluiandrei.blogspot.com/
モンテッソーリ教育は、本来障がい児の治療を目的に作られた教育方でした。子どもが本能的に求める『感覚に訴え、動きを伴った活動』に満足行くまで取り組めるよう、はめこみパズルなどのような独自の教具を造り、五感や運動器官を満足に扱える環境が与えられました。子ども達は読み書きもできるようになり、モンテッソーリの試みは大きな成果を挙げ、評価されるようになります。
1907年、モンテッソーリはローマのサン・ロレンツォ地区に幼児のための学校を開く事になります。当時この区域には亡命者は低所得者があふれており、市の管理が行き届かない状況でした。貧しい子ども達は満足な教育を受ける事もなく野生児のような状態。あちらこちらに落書きがあり、親子共々、満足な教育を受けられず犯罪が溢れていました。そこでローマ不動産協会から各共同住宅に一つ学校を建設する計画が持ち上がり、モンテッソーリに声が掛かったのです。この学校は『子どもの家』と名付けられ、初めて健常児へのモンテッソーリ教育が行われるようになりました。
「この子達を教育する事ができたら奇跡だ」と町の人が懐疑的な中、それでもモンテッソーリは子ども達の可能性を信じていました。障がい児へのアプローチは、健常児にも有効だと考えていたモンテッソーリは、医療知識とイタールやセガンが編み出した教育方法を組み合わせ、独自の教育を用いて子ども達と関わりました。
学校に来た見学者は必ず驚きの表情を見せます。室内の静けさと、子ども達が集中する姿。そこには野生児のようだった子ども達はおらず、全員が清潔で安心できる環境で落ち着いて過ごしていました。大人の威圧がない中でどのように子ども達をしつけたのか。誰もが知りたがりました。1909年には子どもの家で行われた教育について本が出版され、モンテッソーリ教育が国際的に認められるようになりました。
では実際、子どもの家でどのような教育が行われていたのでしょう。他の学校とはどう違うのでしょうか。次回お話しします。
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