前回まではモンテッソーリ教育の歴史をお話ししてきました。
今日はモンテッソーリ教育がなぜ発達障がいに有効なのかお話ししていきます。
個性によって様々ですが、発達障がいの方にはいくつか共通した特徴があります。
①発達性強調運動障害がある
②感覚統合の調整が苦手
③不注意で気が散りやすい
④一つの物事に強い集中を見せる
⑤数、活字に対する理解が苦手
これらの特徴は脳機能障害が原因で現れてきますので、本人の意志ではコントロールが難しい部分です。コントロールできないからこそ、生きづらさを感じてしまう点でもあります。しかしこれらの特徴は少しずつ無理なく練習する事で解消できるようになる場合があります。
①発達性強調運動障害へのアプローチ
発達性強調運動障害は体全体、手、足、指などの動きを調整する事が困難で、スムーズな運動ができず日常生活に支障をきたすという特徴です。人が行動する時には、様々な場所を使います。例えば何かを拾う時には、目を使い対象物に焦点を当て、その情報が脳に行きます。脳で情報を分析すると体に指令が行き、肩 腕 肘 指先などの筋肉が動きます。この時、腕を伸ばす前に指が動いても、物を拾う事はできません。指先が小指しか動かなくても物を拾う事ができません。
このような動きは生まれたての赤ちゃんの頃からできるものではありません。首が座り、寝返りをうち、座れるようになり、ずり這いをし、ハイハイをしながら運動の調整を体で覚えて行きます。ひとつ動きを体得すると次段階の運動調整を獲得するよう、本能的にプログラミングされています。
モンテッソーリ教育は、この本能的な動きの欲求に合わせた環境を設定します。子どもが粗大運動を獲得したい時期には、歩ける広々とした場所や上りやすい低い階段を用意します。手先など微細運動の調整をしたい時期には、掴む・つまむ・注ぐ・縫うなどの要素を含んだ玩具を用意します。このような活動は子ども達にとって遊びです。1時間でもずっと集中して一つの遊びに取り組んでいます。遊びながら自然と協調運動を獲得していくのです。
大人にとって運動調整は、料理 洗濯 掃除 片付けなど生活に密着した内容につながってくるものです。好きな事で動きを獲得していく。大人にも有効な事なのではないか思います。
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